相互理解とはどこの国の言葉なのだろうか。そしてどうして俺は目の前の人にいきなりプロポーズ(たぶん)されているのだろうか。そして。
「いいぞ」
「リボーン!?」
 どうしてこの家庭教師は俺の意見を全く聞かずに許可を出しているのだろうか。いつものことながら俺はリボーンにさっぱりついていけない。ついていけるのは多分、コロネロとかビアンキぐらいなんじゃないだろうか。ああ、ヒバリさんもついていけるのかな。そしてそのヒバリさんにいきなりプロポーズされたわけで。うん。
ヒバリさんはいい笑顔で(なんかいやだ)頬杖をついた。行儀悪い。
「ワォ、本当かい?」
「ああ、元々そのつもりだったからな」
 はい?と俺は首をかしげた。頭の中をクエスチョンマークがいくつもまわっている。
 家庭教師様は優雅にエスプレッソを口に運びながらおっしゃって下さった。
「九代目がな。お前とヒバリを、婚約させるように、だと」
「はぁ!?」
「これはボンゴレの幹部連中も納得済みだ」
 クラリ、とめまいがしてきた。俺に選択肢は。
「無ぇ」
「心読むなよ!」
 ヒバリさんはちょっとむっとなさっている。怖い。
「何、沢田、嫌なの」
「嫌っていうか婚約とか結婚にもうちょっと夢を見ていたかったっていうか!」
「会ったこともねえやつに添わされるよりはマシだと思って諦めろ」
「赤ん坊それは僕に対して失礼じゃない?」
 リボーンは気にすんな、とかいってる。どこまでもマイペース。Going my way.
「まあ実際、他にも候補は何人かいたっちゃいたんだがな。同盟ファミリーの次男坊とか、ボンゴレの若手幹部候補とか、あと獄寺と山本も候補に入ってたぞ」
「えええ……それはちょっと」
「まあ雲雀が一番いいだろうってことで話はまとまったが。」
 親友たちをそういうふうには見れなかったので、そこは考慮してくれたのかなあ、とちょっと家庭教師サマに感謝したら、リボーンは「だって」と言う。
「面白くねえだろ?」
「そう言う問題!?」
 雲雀さんなら面白いのかお前は!………………面白いんだろうなあ。すごく、バイオレンスな日々になりそうだもんなあ……。
 というか俺の感謝を返せ。
「ねえ赤ん坊、それ、褒めてる?」
「褒めちゃいないが評価はしてるぞ」
「ふうん、まあ、いいということにしておくよ」
 雲雀さんはきれいな動きでフォークを使い口の中にワッフルを運ぶ。ちょっとだけどきりとした。
 まじまじと見れば、この人は自分が思っていた以上にきれいな人だった。ディーノさんや獄寺くんや山本とは違う、格好いいというより綺麗な人だった。
 さらさらとした黒髪は俺の憧れるもので、すう、と伸びた鼻筋や、黒々とした瞳の収まった切れ長の目や、幼さのそがれた白い頬があわさって、大袈裟じゃなく美しかった。
 今更知った、その事実にほう、と息をつくと、リボーンがにやにやと俺を見ていて、ちょっとたじろいだ。
「な、なんだよ」
 俺がつっかえながらそう言うと、ますます笑いが深まった。
「いんや、何でもねえ。だがな、お前が自分で気づいてないみてぇだから教えといてやる」

お前、相当の面食いだ

「……は?」
 にやにや笑いのとまらない家庭教師を俺は、なすすべなくぽかんと見つめていた。
































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