ようやく姿を現した赤ん坊は開口一番にこう言った。
「なんだ、ばらしちまったのか」
 俺が言おうと思ってたのにつまんねえ、とのたまわった赤ん坊は、後輩に思いっきり怒鳴られていた。曰く、面白がるな。たったそれだけの内容で5分も喋れるなんて(頭のゆるいこの子にしては)快挙だ。殴ろうかとも思ったけれど、これが少女だとわかった以上殴れない。母による脅し、はいまだ有効。ばれた時が恐ろしい。こんなこと他人には言えないが。
 さんざん怒鳴って気が済んだのか、パタパタとキッチンに駆けていく。後輩の目が届かなくなった時点で赤ん坊は耳から何かを取り出した。恐らく耳栓。全く聞いていなかったらしい。ぽい、とゴミ箱に捨てて証拠は隠滅。ばれる可能性は皆無となった。
「で、赤ん坊。用件は何?」
 こんなところに呼び出しておいて、というと、赤ん坊はカメレオンを撫でながら機嫌良さそうに呟いた。
「半分は済んだ」
「は?」
 首をかしげると、赤ん坊は台所のほうににくい、と顔を動かした。ああ、つまりそういうこと。
「僕に教えるつもりだったの」
「つまんねえっつったらつまんねえが、手間が省けた」
 赤ん坊は是、の返答の代わりに口の端を歪めた。それから、でもあれ着せたのは俺じゃねーぞ、と言った。じゃあ誰だ。後輩の母親だろうか。
「ビアンキとハルじゃねーか?」
 数少ないうちの一人(というか二人)、であるらしい。
「ガキどもはしらねーぞ、このこと」
 別にそんな事どうでもいいけど、と頬杖をつく。視線はキッチン。さっきから何かを作っているらしい。少し甘い匂いがする。どうでもいい事を口にしてみる。
「寒そうだよね、あれ」
「本人が平気そうだからいいんじゃねえか?」
「まあ、下着姿よりはましか。……あれ?」
 そういえば、自分は何度か後輩の下着姿(本人は不本意らしい)を見たことがあった(何度かは至近距離で)。その時は確かに男だったはずだが。
「ボンゴレの科学技術だ」
「ボンゴレってホント色々無駄なところに力いれてるよね」
「何の話ですか?」
 きょとん、と首をかしげる後輩。両手にはカップ。片方はひどく小さい。
「リボーンはエスプレッソだよね。ヒバリさんはよくわかんなかったんで、カプチーノにしました」
 小さいほうはエスプレッソだったらしい。沢田がもう一方を雲雀の前に置く。目の前に置かれたそれを見ると、よくわからないけれど取り敢えず模様が入っていた。意外と器用?とか思いつつ口にする。
「……」
 赤ん坊がにやり、と笑った気がした。
 次いで、目の前にプレートが置かれた。かりかりのベーコンが添えられた、メープルシロップのかかったワッフル。フォークで口に運ぶ。……うん。これは。
「ねぇ、さわだ」
「はい?」
 斜め前に座った後輩の目を見る。

「嫁にこない?」







































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