自分らのボスを取り合って、ぎゃあぎゃあと騒ぐ同僚を見やって、骸は、ふう、とため息をついた。
「……よくやりますねえ」
「おまえは混ざんなくていいの?」
「え?」
「お前、ツナのこと好きなんじゃなかったっけ?いいの?」
そう言って首をかしげるディーノに、なぜ知っている、と内心骸は舌打ちした。
「まあ、ね」
でも彼、
「雲雀くんしか見ていないようですし、それに僕、他に好きな人、出来ましたし」
だから、いいかな、と。それからちろりと視線をディーノに向けて、気づかれないうちにそらした。
好きなのは、今、自分の隣にいる、この男。どうして好きになったのかは覚えていない。やたらきらきらしい、イタリア人らしい陽気な、けれど、やはりマフィアのボスだからだろう。どこか暗いものを持つ男。自分たちのボスは持ち合わせていない貫禄と余裕の隙間から、未だ失っていない少年らしさがのぞく。正反対のものを持ちながら、不安定さは微塵も見せない。そんな彼を、骸はいつだったか、気づいたら好きになっていた。自分のボスよりも。ずっと。
「……だれ?」
「え?」
急に低くなった声に、骸は首をディーノの方に向けた。
「だれ?好きな奴って」
「な……」
言えるわけがない。どうして本人に、好きだと言ってしまえるだろう。そんな簡単なことだったら、骸はとっくの昔に言ってしまっていたし、それにきっと、綱吉にだって自分の気持ちを伝えていたはずだ。たとえ、かなわないと知っていたとしても。
「……あなたには、関係ありません」
「あるよ」
「だって、お前がツナを好きだっていうから、俺は放っておいたんだ。どうやったってツナの心が恭弥から離れることはないから、ずるくても、安心して見てたんだ。放っておいたんだ。でも、お前が他の奴を好きだっていうなら、俺は放っておけない。関係なくなんかない。だって俺は、お前が好きなんだから」
「……冗談、」
「に、聞こえるか?なあ、骸」
じ、とディーノをみつめる骸の目から、ぼろ、と涙が零れ落ちた。あわてて、顔をそむける。
「む、骸?え、ちょ、おま、何ないてんだ!」
「うるさい!かお、見ないでください!」
「えええ!?」
拭うそばから流れる涙を必死に抑えながら、自分を泣かせた男の声を聞きながら、骸は、やわく口元をゆがめて笑んでいた。
あとがき
なんていうか、うん、本当にごめんなさい。
ていうかさ、完璧に誕生日、無視してるよね?これ。そういうレベルじゃないよね?誕生日のたの字も入ってないよこれ!たんなるディノムクだよこれ!
当初の予定からもだいぶ外れてる……。つーか骸さん乙女だな!
あっ、石投げないで!いたいっ!
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