「ねぇ、犯させて」
シャツ、綱吉の胸元、をその華奢な手で握り締めながら、雲雀恭弥がつぶやいた。ぼろ、とその、うつむいた顔の、見開かれたまなこから、黒々とした、目、から、涙が落ちた。
その下着のなかでは、深紅に、一滴黒の混じった、そのせいで、濁った血が、どろり、と吐き出されていた。鈍い痛み。キモチワルイ。吐き気がする。
「ねぇ、なんで、僕は、女なんだろう」
「ひばり、さ」
「つなよし、いやだよ、オンナはいやだ」
ねぇ、犯させて、きみを。
真っ赤な潤んだ唇が、かさかさとした、綱吉の口をふさいだ。涙は止まらない。時折、くちゅ、と、舌の絡む音がして、背筋がひどくざわめく。首筋を指でつう、となぞられて、ぞくり、とした。
「おとこに生まれたかった。それで、きみがおんなならよかった」
ぼくのからだはヒトをうけいれるようにできていて、ぼくのこころは、そうじゃなかったんだ。
つたう。ひばりのほほ、あご、そこからつなよし、の顔にこぼれた。それが首筋を伝い、雲雀の指に触れた。乾いた指に滴がすいこまれて、きえる。なみだ。
制服、白いシャツの上にベストを着て、膝よりもほんの少し上で揺れるプリーツスカート、ほんとうは捨て去ってしまいたい、校則に縛られる、そのカラダの性に縛られる。
それでも、つかんだ手を離そうとしない雲雀に、綱吉は、ぶるり、と背筋を震わせた。
「そ、れ、でも」
「・・・・・・?」
「雲雀さん、俺の傍にいてくれるんですか?」
「・・・うん」
せいべつがちがっても、何年たとうと。
「僕は、君の隣に、」
君の傍にいなきゃいやだ、そうつぶやいて。
もう一度だけ、ただ触れるだけのキスをした。
BACK