「お誕生日おめでとうございます」
自室でにこやかに出迎えた綱吉にちょっと驚いて、雲雀はああ、とつぶやいた。
「そういえばそうだっけ」
「もう、また忘れてたんですか」
「いいじゃない」
君が覚えてるんだし、といえば綱吉はちょっとほほを染めた。
「あんまり凝ったものは作れなかったんですけど、雲雀さんの好きなもの、用意したんで」
食べていってくださいますよね?とリビングの扉を開けた綱吉に雲雀は頷いた。
「ひ、ひばりさん!」
「……なに?」
休日にもかかわらず学校に来ていた雲雀だが、いい加減日も暮れてきて帰ろうかと腰を上げようとしたところ、応接室の扉をたたく人間がいた。扉を開けてやればおびえきった沢田綱吉、休日だがきちんと制服を着ている。いいことだ。
学校指定の鞄を抱きしめて、おずおずと見上げてきた綱吉に、何の用?と尋ねた。
「あ、の!今日、雲雀さんがお誕生日だと伺いまして……!」
「ああ。そうだね。それが?」
びく、と背筋を震わせて、それでも必死に顔を上げようとしながらに綱吉は口を開いた。
「それで、大したものじゃないんですけど、お弁当作ってきたので、食べてもらえませんか!」
「……きみが?」
「はい!」
「…………こんな時間だけど?」
「う……」
とうとううつむいてしまった綱吉に一つため息をついて雲雀は声をかけた。
「……はいれば?」
「、はい!」
「……意外」
「え?」
「料理できたんだ」
「う、ちょっと母さんにも手伝ってもらっちゃったんですけど……」
炊き込みごはんを口の中に運びながら、雲雀が感心したように言った。綱吉は恥ずかしそうにスカートのすそをいじっている。
「うん、まあ食べられなくはないね」
「よ、よかったです」
情けないような顔をして綱吉が笑う。
「来年からは、あったかいのが食べたいな。冷めたやつじゃなく」
「え?」
「うん」
よくわかってないような顔の綱吉に雲雀が笑う。
「来年からも、祝ってくれるだろ?」
「は、はい!」
「群れないようにね」
「う、はい」
「懐かしい」
「なにがですか?」
こてり、と首を傾げて綱吉が尋ねる。
「君が初めて誕生日を祝ってくれた時のこと、思い出してた」
「ああ……」
「あのころは、君もまだおびえてたよね。面白かった」
「おもしろかったって……俺はあの時ものすごく胃が痛かったんですからね!」
もう、と綱吉が怒った顔をする。
「でも、かわいかった」
それにう、とつまって、綱吉は咳払いをした。雲雀はくすりと笑って鰆の焼き物をくちにする。
「おいしい」
「……よかったです」
「来年も、祝ってくれる?」
綱吉は、もう、といって笑う。
「来年も、その先もずっとお祝いします。約束ですもの。雲雀さんもちゃんと、祝われてくださいね?」
「うん。約束だ」
テーブルで向かい合って、これから先も二人でこの日を迎えられることに感謝しよう。
Happy Birthday !
ちょう遅刻したひばたんです。一年以上ぶりの更新になってしまった……そんなつもりじゃなかった……。
BACK