「雲雀さん」
「……」
仕事中。綱吉が椅子を跨ぐようにして向かいにいる僕を呼んだ。話をしたいのは山々なんだけど、でも僕今仕事中なんだって。ていうか君任務上がりでしょ。報告書出した?
「雲雀さんー?」
「……」
「…………雲雀くん雲雀様ヒバりんヒバくんヒバちゃんヒバっちひーく」
「なに綱吉」
なに最後まで言わせてくださいよとか言っちゃってるの。さすがに恥ずかしいから。満面のにこにこ笑いの中ににやにや笑いが混じっているのをみて僕は十年という月日を呪った。あの可愛い綱吉を返せ。
ていうかなんでこの子は僕のことまだ名字で呼ぶんだろう。
僕は少し仕返ししたくなって綱吉に向き直った。
「ねえ綱吉?」
「なに?恭弥」
……。
「雲雀さん、馬鹿にしないでくださいね。これだけ長い付き合いがあれば別に超直感使わなくても大体分かりますから」
…なんだろう、このそこはかとない敗北感。武術で負けるより悔しいかもしれない、というか悔しい。10年前に戻りたいとは思わないけれど、これはないんじゃないかと思う。
というか、きっと僕は“綱吉”に負けたのが悔しいんだ。綱吉の前では、彼より大人でいたいから。
「ひーばーりーさん」
「…重いんだけど」
なに抱きついてるの。僕が忍耐強くないって重々知ってるよね?今までの経験で。
「だって冬なんですもん」
人肌が恋しいんですよー、って、確かに暖かいけれど、寒いのは綱吉が悪い。
「シャツ一枚だからでしょ。上、着なよ」
「やです。あれ、血まみれなんですもん」
椅子にかかったスーツの上着は血が変色して褐色に染まっている。気づけば、僕の胸元に回された腕がかすかに震えていて、綱吉は肩に頭を摺り寄せてきた。
――――――やっぱりまだ、慣れてないんだ。綱吉は、優しすぎるから。
「少しだったら、こうしてていいよ」
綱吉は小さく頷いて、“有り難う”といった。









今だけは、      甘やかしてあげる











あとがき
初めて書いたヒバツナ。というかBLが初。(これBLか?BLなのか?)このころはまったくといっていいほどヒバツナにはまってなくって、むしろ黒ツナスレツナのドリームにはまってたとき。だからツナの性格がすごいことに。ついでにぜんぜん甘くねえ。ていうかツナはボスなんだから任務なくね?とか今思ったり。それでもあぷするのです(えへっ)。勢いで「ためしに書いてみよう」でつくった作品。






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