君は僕の所有物!
屋上に飴色の髪の少年が一人。フェンス前にしゃがみこみブツブツと呟く。
「好き、好きです、つきあ…………あがー!いえないー!」
非常に不審だ。
綱吉、はここにいたってもまったくといっていいほど肝が据わっていなかった。告白する、と決めてから一週間、結局言えずに帰ってきて、鬱陶しがった家庭教師様に「いい加減にしねぇとコロス」と脅された。それでも朝が過ぎ昼が過ぎ、今はもう下校時刻ぎりぎりだ。それでも、彼の人がいるだろう部屋に、行くことができない
(ううううう………女々しいなあ、俺……)
いや、そんなこととうに判っていたのだけれど。
そんなわけでさっきから一人ぶつぶつと呟いていたのだけれど、そんなことしていても告白する度胸が出てくるわけでもなく、むしろ自信が消えていく。時間がたてばたつほど悲観的になってくるのだ。
(……俺、があの人に告白しても)
どうせむり、玉砕覚悟で行ってしまうには、綱吉は臆病だったし、無謀でもなかった。遠くを見つめ、今度は誰にいうでもなく呟く。
「………すき、俺は、あなたが好き、すきです」
雲雀さん、好きです。
「……うん、知ってる」
振り向けば雲雀恭弥が綱吉を見ていた。
「い、つから、そこに」
「つい、さっき」
呆然とした綱吉は、しかし真っ青になって立ち上がった。
「すいません、失礼します忘れて下さい!」
俯いて扉へと走り出した綱吉の手を、雲雀は掴む。
「待ちな」
「は、な、して」
俯いたまま、なんとかしてとられた手を振りほどこうとする。
「大人しくしなよ」
「やっ」
「君は僕に、話もさせないの?」
ひくり、と震えた肩を、ふわりと抱き寄せる。綱吉は眼を見開くと、訳が分からない、といった顔で、自分を後ろから抱きよせるひとを見上げた。
「君は、僕の答えを決め付けているだろう。だけれども、君に今の僕の何が分かっているというんだ?」
自分の目を見て、淡々と言葉を紡ぐ雲雀を見ていられなくて、綱吉は目をそらそうとする。けれど、雲雀は綱吉の顔に手をかけ、く、と上げさせた。僅かな痛みに綱吉が顔をしかめる。その歪んだ眉の間、そこに雲雀は唇を寄せた。
「………え、」
元から大きな、丸い潤んだ瞳をより大きく見開いて、それから、音をたてるかのような勢いで赤くなる。
「あのね、この僕がだよ、君みたいな弱い草食動物なんかに、好きでもなかったら近づくはずないだろう?」
「で、も、りぼーん」
「もうすでにコネクションはできてるんだ、君を経由する必要はない」
愉快そう、に笑う、雲雀はこの薄暗さでも分かるほどに頬を赤く染める綱吉の、薄紅の爪に歯をたてた。
好きだよ、君が好き。
だから、
あとがき
結構前に書いた代物。自分でも何がしたかったのか分からない……。ええ?
とりあえず、めざせ!甘い話!だったんだと思う。失敗したけど。
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