普通の子だ。
容姿も性格も頭の出来も、何もかもが普通。
ひとつだけ、普通じゃないところがあった。彼は暗い深い、怖い怖いところのボスになる子だった。血がそう決めていた。
それでも、彼自身はどうしたって普通だった。そして、どうしたって普通じゃなかった僕は、どうしてか彼に惹かれた。強く、強く。



彼は、僕の言葉に大きく目を見開いて、きょとん、としてから、じわ、と染み出すように赤くなった。それから、あたふたとしてから僕の顔を見て、また赤くなって、俯きがちにこくんと頷いてから、「俺もです」と言った。
ほっと息を吐いてから、僕は自分が息をつめていたことを知る。思っていたよりも、緊張していたことを知る。案外に、僕にも繊細な部分があったらしい。つかんでいた手の力を緩めると、思わずといった風に彼のほうで力を強めてきて、「あ、」と呆けたような顔を彼はした。
「綱吉?」
彼はすみません、とあわてたように言ったけれど、力は緩まない。僕はその手を持ち上げて、その甲に口づけた。そのまま彼を見ると、ふ、と力が緩む。僕はその手首を掴んで、今度は手のひらに口づける。彼の腰のあたりを掴んで抱き寄せる。ふわふわとした飴色の髪が頬に触れてこそばゆい。熱いくらいの体温が僕にじんわりと沁みる。

……この、温度が好きだと思った。普通なんて嫌いだった僕が好きになった、この普通な子のこの高い体温が好きだと思った。白い肌を染めてはにかむ、この子をいとおしいと思う。

「好きだよ」
「はい」
「すき」
「俺も、すきです」
これだけ、の言葉を、ひどくいとおしいと思うんだ。












あとがき
もうなにもいうまい。うん。












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